2003年 01月 31日
原稿執筆者:消費生活アドバイザー 桑野 道子
平成15年2月3日に募集を開始して、3月10日に発行される個人向け国債は、個人だけを対象にした10年満期国債です。従来の国債とは内容が大きく違います。その違いや特徴、購入時の注意点などを調べてみました。
「個人向け国債」3大ポイントは
つまり、少ない金額で買え、将来世の中の金利が上昇した時には、この国債の金利も高くなり、途中でお金が必要になれば、元本割れなしで国が引き取ってくれるということです。
もちろん、これまでの国債と同様、満期時には元本(額面金額)が返ってきます。
従来の国債は、今のような低金利時に購入すると、10年間そのままの低金利が固定される点や、中途で換金する場合は、その時の市場相場で売買されるので、元本割れをする可能性が大きい、というリスクがありました。
その心配が「個人向け国債」にはないので、今のような経済情勢では、安全性が高く、使い勝手の良い金融商品といえるでしょう。ただし、金利は従来の国債より低くなっています。
個人向け国債の金利 半年ごとの変動金利 (10年固定利付き国債の金利-0.80% ただし0.05%が下限) ちなみに、第1回債の初回利子の適用利率は0.09%です。 これは元利保証の郵便貯金や銀行普通預金より高く、期間10年の銀行定期預金などより低くなっています。 |

(*1)流通利回りともよばれ、既発債券の流通市場において表示される利回りのことをいう。一般には、その時点で流通量の多い公社債の実勢利回りが新発債券の発行条件に反映されることにより、公社債市場全体が正常な状態に保たれる。
財務省ホームページ-個人向け国債
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/kojinmuke.htm
財務省ホームページ-国債についてのQ&A
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/qa/index.htm
個人向け国債は、募集期間に、取扱機関(金融機関、郵便局)で応募した上で購入できます。
◆平成15年1月以降に発行される国債は証券が発行されず(ペーパーレス)、口座上の記載によって管理されますので、初めて国債を購入する場合は、購入する金融機関、郵便局で国債専用の口座を開設する必要があります。
口座を開設するときには、運転免許証、健康保険証など本人確認が可能なもの、印鑑等が必要です。また、口座を開設した上で、個人向け国債を購入するために必要なものは、購入代金又は預金通帳、印鑑等です。
◆取扱機関は、全国の金融機関及び郵便局です。
取扱機関のリストは財務省のホームページをご覧ください。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/kojinmuke/contents/organization/index.html
◆2月3日から応募を受付ける、3月10日発行分の初回の個人向け国債は3,800億円です。
来年度は4回売り出し、年1兆5000億円を発行する計画です。
満期時だけではなく、中途解約時にも元本が保証されている安全性の高い商品ですが、信用リスクがゼロというわけではありません。つまり日本国債の信用力が今後どうなるかわからない、という心配があります。
日本国債の信用力は、アメリカ・フランス・ドイツなど主要先進国に比べると大きく遅れをとっており、その格下げ理由が日本の国債発行残高の多さであったことを考えれば、今後の国債の増発による国債残高の一層の増加により、国債格下げという悪循環に陥る可能性もあります。
以上のようにリスクが全くないわけではないので、購入は個人の資産全体のバランスを考え、他の金融商品とよく比較した上で行ないましょう。
この国債は「安全性の高い商品」として、また「ペイオフ対策商品」として人気商品になるのかどうか、今後の動向が注目されます。
しかし、新聞や雑誌等の情報によると、財務省が国債の投資家層を拡大しようとするのは、国債の保有構造に生じている偏りを是正するためだそうです。
現在、年間130兆円発行され、2002年3月末で発行残高は約470兆円。そのうち、政府と金融機関が各40%、日銀が15%保有し、個人は2.5%(約12兆円)しか保有していません。
今後も 国債の発行額は増え続けるため、財務省は安定消化に向けて個人の保有を促す必要があり、国債の流通市場がはらむ金利変動リスクを軽減したいとの思惑があるそうです。
国債とは国の借用証書です。国債の発行額が増えるという事は国の借金が増えるということ。
もしもその借金が返せなくなる額まで膨らんだら、いくら借用書があっても実際にお金は返ってきません。今までは、そのリスクの大半を政府と金融機関と日銀が負っていたわけですが、今後はもっと広く、いろいろな人に分散しましょうということでしょうか。
また新たな金融商品の選択肢が広がったわけですが、日本経済の先行きが見えないため、この「個人向け国債」に投資すべきかどうか判断に迷います。つまるところはまた、「個人の自己責任」でということでしょうか。自分で決めて、その結果も自分で負うといのは難しいですね。