2002年 06月 03日
原稿執筆:消費生活アドバイザー 杉山 公子
超低金利が続いています。銀行や郵便局にお金を預けても何だか損しているような気さえします。
そんな中、1万3千円分の買い物券を1万円で買えたり、1年間掛けると1月分ボーナスがもらえる百貨店の友の会の券などを、利用している消費者が増えているようです。
しかし、発行元の百貨店やスーパーが倒産し、買い物券の換金をめぐって起きたトラブルを最近よく耳にするようになりました。
本年4月には、大阪府堺市にて、顧客約100人と経営破綻したスーパーの元経営者側とが、買い物券の換金をめぐり押し問答する騒ぎがあり、一時は管轄警察署員6人が出動するという事件が発生しています。
買い物券は本当にお得なのでしょうか?そこで、買い物券について調べてみました。
いわゆる買い物券=商品券、ギフト券、プリペードカードなど前払いで購入した券はすべて、法律上「前払式証票」と呼ばれています。
自店だけで使える「自家発行型」と他店でも使える「第三者発行型」の2種類があります。
いずれも、前払式信用取引です。
つまり消費者が発行元の百貨店やスーパー等に対し、前払いによる信用供与(金融取引で、自己の財産を他人を信用して一時的に利用させることをいう)を行っているということなのです。
ですから、発行元が倒産した場合、その証票の券面額の金銭換金が保証されているわけではありません。
例えば、百貨店の全国共通商品券の裏面には、「発行元に一定の事由が生じた場合等にはご利用いただけないことがあります」のただし書きがあります(しかし、いちいち裏面に目を通す方がどれほどいらっしゃるでしょうか?かなり疑問ですが・・・。発行元の売場の社員でさえ、このただし書きを知らない恐れがあります)。
一定の事由とは倒産以外に、発行元が天災地変等により営業を停止した時、共通商品券の発行および取り扱いに関する契約に対する違反または不履行があった時または契約が終了した時、信用が著しく低下したと認められる相当の事由が生じた時等があげられます。
ちなみに、百貨店の全国共通商品券の発行元は、各百貨店です。したがって、その発行元の百貨店に上記のような「一定の事由が生じた場合等」に、利用できなくなることがあるのです。ですから、どこの百貨店が発行した券なのかに注目する必要があります。

例えば経営再建中のそごうグループでは、再建のめどがたたない長野そごう、木更津そごう、多摩そごうなどは閉店しましたが、それらが発行した全国共通商品券の債務は、グループ各社が引き継いだため、引き続き使用可能となりました。しかし、債務を引き継ぐ会社がない場合は、同じグループの百貨店でも商品券が使用できる店とできなくなる店が存在してしまうということです。
また、万が一の際の返金についてですが、「第三者発行型」は未使用残高が1千万円以上の場合は、法務局にその残高の2分の1以上を発行保証金として供託しなければならないと規定されていますので、倒産しても返金される可能性はあります。
けれども、1千万円以下の場合は供託の義務はありません。
最近では、上野百貨店(栃木県)、丸正百貨店(和歌山県)、大黒屋(福島県)、松菱(静岡県)などで返金が決定しました。丸正百貨店の場合は、不幸中の幸いか、経営危機が取りざたされて以来、商品券の使用が急速に進み、未使用残高は供託金の範囲内にとどめられ、額面に近い割合で払い戻されるようです。
「自家発行型」については、事前に登録や届出の義務はなく、未使用残高が700万円を超えて初めて届出をすることになっています。倒産した場合、他の債務と同様の扱いで、残余財産の分配がおこなわれることとなります。
少し難しい話が続きましたが、つまり、「購入した買い物券が、宙に浮く危険性もある」ということです。
利用に際しては
「手元にある商品券はなるべく早く使う」
「購入する場合は発行元の経営が安定しているところを選ぶ」
等の十分な注意が必要です。