2001年 10月 16日
原稿執筆:消費生活アドバイザー 久留 百合子
人によって若干の時期のずれはありますが、50才近くになると、どうも近くが見えづらくなってきます。
ほとんどの人が、仕事上の書類が見えにくくなったり、新聞が読みにくくなった、レストランのメニューが見にくいなど「あーそんな年になったか」と老眼鏡を買いに行くのではないでしょうか。
私はかなりひどい近視で、そのためか同年代の友達よりも少し遅くその時はやってきました。
以前から老眼鏡を買いに行く自分の姿にどことなく抵抗があったり、それよりも何よりも、会議などで諸先輩方がメガネを付けたりはずしたり、何とも面倒くさそうという印象があって少しづつ先延ばしにしていました。
それは、新発売の「遠近両用コンタクトレンズ」。
以前からあるのは知っていたのですが、どのような作りになっているのだろうか、あんな小さなレンズで遠近両用が可能なのだろうかと疑問に思っていました。
解説を読んでみて納得。遠近両用めがねのように中央部分が近眼用で、下の部分が老眼用というのではなく、レンズの中央部分が近眼用で、その周囲が老眼用になっているというのです。
「すごい!」
新聞には、2週間試すことができるという“遠近両用ソフトコンタクト”が載っていましたので、早速電話で尋ねてみました。
その中に、私が利用している店があったので、今度はそこに電話。
コンタクトレンズ使用は必ず医師の診察が必要なので、眼科医が常駐しているその店に予約を入れて、行ってみました。
目のチェック、視力検査、眼科医検査があって初めてレンズ装着。
これまで30年近くハードレンズを使っていたので、しばらく違和感がありました。
それとソフトはハードよりレンズが大きいので、目に入れるのに慣れるのが大変です。
その違和感も2 、3日で慣れ、「うーん、見える、見える、便利!」
でも、近くのものを見る時は、目を動かしてレンズの見える所に合わせるのがちょっと大変、というのが素直な感想でした。
2週間試してみて、目に異常もないし、便利なので、購入。
2週間で使い捨てのレンズです。
ちなみに、価格は両眼一組で定価2.400円です。
まとめて6週間分しか買えないので、約3ヶ月おきに店に行き、検査を受けて買うというやり方です。
2週間超えて使用しないように、新しいレンズの使い始めを手帳か何かに付けておかなくてはなりませんし、レンズは注文になるので、必ずなくなる2、3日前に店に行って注文しておかなくてはなりません。
「ちょっと面倒!」
しかし、ハードレンズを落としたり、洗う時流してしまったりという苦い経験を持っている者にとっては、ソフトは落ちにくいし、使い捨てというのは気が楽です。
3ヶ月ぐらい経った頃からでしょうか。
夕方、とても目が疲れる、レンズが目に貼り付いた感じがすると思い始めました。
それと、レンズを入れていても夕方から夜は、近くが見づらいと感じていました。
検査に行った時に眼科医に相談すると、ソフトは目にぴたっと貼り付くので、涙の流れが少なくなるとのこと、目薬をさすように言われました。
仕事中も頻繁に目薬をさすようにしていましたが、夜は新聞など小さな字は相変わらず見えづらいなあと思っていました。
半年ぐらい経ったある日、いつものコンタクトレンズ店からハードの遠近両用コンタクトの説明会があるというハガキがきました。
今までのソフトレンズの不便さなども質問してみようと早速出かけてみました。
コンタクトレンズについては、良く分かっていますので細かい説明は聞かず、こちらから疑問点を聞くというようにしました。
分かったことは、ハードは、レンズの装着経験がない人には違和感が強く慣れにくいこと、しかしハードの方が目の中で動くので涙が出やすく乾いた感じが少ないということ、ハードの方が遠くも近くも視力は出やすいということなどで、随分と疑問が解けました。あとは高いレンズを落としてしまうかもしれないリスクを考慮に入れても、見えやすさをとるか迷うところではありましたが、思いきって購入しました。こちらの値段は両眼定価で8万円です。
現在、ハードレンズを使いだして約5ヶ月になりますが、私の場合はハードに変えて良かったと思っています。遠くと近くを見る時の抵抗感がほとんどありません。フトの様に近くを見る時に目を意識して動かさなくてもいいし、夕方、夜でも新聞も本もしっかり読めます。
少し暗い所で、はりに糸を通すのだけは難しいですが…仕事中目薬をさすこともほとんどありません。
目が乾いた感じがほとんどないからです。
また、ハードは装着が簡単。
ソフトはレンズの裏表を判断するのが難しく、装着に時間がかかっていました。
それとハードは手入れも簡単。ソフトは水では洗えませんし、専用の液に4時間以上入れておかないと再使用はできません。また、洗う時専用液で洗うのですが、優しく洗わないと破れるということもあります。
私は30年以上もハードコンタクトを使っていたので、抵抗は少なかったのですが、ハードがどうしても合わない、慣れるまでに時間がかかるという話も聞きます。
また、使い捨てソフトの良さは、老眼のように比較的短い期間に度が進むというのには、ハードのように一旦買ってしまうとすぐには変えにくいというのより便利ではあります。
それに目に入れた時の抵抗感はハードに比べて少ないと思いますが、先にも書いたように保存をきちんとしなかったり、使い方を守らないと目のトラブルにつながっているようです。
最後に値段の比較をすると、あくまでも定価での比較ですが(店によって会員価格などということで値段は随分違うようです)、使い捨てソフトは1年間で約62.400円になります。ハードは紛失しない限り2、3年使用できて80.000円です。
とにかく、大切な目のことですので、眼科医がいるしっかりとした所でよく調べて価格も検討して購入することをお勧めします。
それにしても、ソフトはお試しができるのですが、ハードはしばらく試してというのが出来ないようなので、今のところそこが残念です。
これまで日本社会では、高齢者のニーズについてほとんど語られてきませんでした。
消費者も声を上げなければ、企業もお客としての高齢者には目を向けていませんでした。
しかし、高齢者人口が20%に達しようとしている現在、高齢者のニーズを無視してはいられなくなってきました。
そこで、やっとバリアフリーからもう一歩進んだ考え方、ユニバーサルデザインということが言われるようになってきました。すなわちだれにでも使いやすい商品、サービスという考え方です。
少し雰囲気のある薄暗いレストランに行った時、私より年上の相手が、お酒や料理を注文する時、面倒くさそうに「適当に決めて」と言っていた理由がやっと分かってきました。メニューが見づらいからだったんです。
これからいろいろな所でお客さんとして増えていくと思われるのが高齢者です。
そう考えると、レストランのメニューももっと見やすい字ではっきり、少し大きめに書いてほしいですね。
また、雰囲気を重視した暗めの場所では、メニューを見る所だけスポットライトがあたるような照明の工夫をするとか、さりげなくしゃれたルーペを置いておくなど、お客の立場にたったきめこまかい対応が望まれます。
物だけではない、このような所にもユニバーサルデザインの考え方が広まってほしいですね。