2016年1月 (有)坂田織物
2016/02/02
今月の「消費者と企業のわいわい塾」は久留米絣の坂田織物さん、
お話は常務の坂田憲子さんでした。
久留米絣とは?
久留米絣は、江戸後期に井上伝という当時12歳の女の子が発明したのだそうです。
糸の段階で色を染め、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の色の組み合わせで模様を織り上げます。
図案の細い線の一本が、一本の糸を表しており、この図に合わせて糸を染めていきます。
木綿の糸を束ね、染めない部分をきつく括り(くくり)ます。
染めた後に括っていた部分をほどくと、白い地がくっきり残っています。
これを、図柄に合わせて、経糸と緯糸を用意し、織っていきます。
工程はざっと30ほど。
図案作りから反物になるまでに2か月はかかるとのことでした。
*坂田織物HP「絣の作り方」 http://www.sakataorimono.com/kasuri.html
木綿なので軽く、冬は温かくて、夏は汗を吸い取って涼しく使えるのが特徴。
もちろん自宅での洗濯が可能です。
ソフトモード(手洗いモード)ですっきり水洗いができます。
また、糸から染めているので裏表がなく、もし色が変わってきても、裏返せばまだまだ使えるのも特徴です。
こちらは、わいわい塾ご出演用の荷物をまとめてこられたという久留米絣の風呂敷です。
お嫁入りした時からン十年と使っているそうです。
丈夫ですね。
久留米絣の一般的なイメージを超える、様々な柄が織られています。
見れば見るほど、柄の奥行きの深さに驚かされます。
素敵な洋服や帽子、小物など、普段の生活に取り入れやすいものも作られています。
2枚重ねのコートは、1枚ずつにして着ることもできます。
試着した方の感想は「とっても軽い」とのことでした。
坂田織物オリジナル「筑後もめん」
坂田織物では、伝統技術を生かしながら「筑後もめん」という自社ブランドも開発しました。
これはなんと、一度仮り織りした布を染め、それをほどいて、ところどころ白さを残した糸をつくり、それをまた今度は図案に合わせて括って染めて織り上げる、という手間のかかった織物です。
ざらっとした木綿らしい手触りのよさ、軽さ、風通しのよさ、などの特徴があり、それを生かして作られたのが日傘です。
日光を乱反射するので紫外線遮蔽率が99.3%あります
((株)久留米リサーチパーク・福岡工業技術センター調べ)。
コーティング等をしていないので、軽くて風通しが良く、まるで木陰にいるような心地よさです。
この傘で、2002年グッドデザイン賞を受賞しました。
また、長年の取り組みに対して、2015年日本ものづくり大賞経済産業大臣賞を社長が受賞しています。
*グッドデザイン賞HP「筑後もめん日傘」
https://www.g-mark.org/award/describe/27420?token=qjBGvJHksn
*日本ものづくり大賞HP「経済産業大臣賞受賞者一覧」 http://www.monodzukuri.meti.go.jp/award/06/award_02.html
残糸をつないで新しい命を吹き込む「TUGU」
筑後もめんの作り方は、仮り織りをして染めてほどいて、緯糸だけを使うというもの。
経糸は短く、捨てるしかありませんでした。
もったいないので、一本一本手でつないで染め直し、織ってみると、腰のある魅力的な布に。
その布で「TUGU」(つぐ)という新しいブランドを作られました。
若い世代に受け入れられるような商品展開を目指しています。
*TUGUのHP http://tugu-sakata.com/
参加者との質疑応答
人材育成はどのようにされているか?
経糸くくり、緯糸くくりの技術者については、久留米絣の組合が一部補助を出して育成を始めている。また、久留米高専の協力で、糸くくりの機械やそれを動かすソフトなども出来てきている。大学で染織を学んできた人など、新しい人の加入もある。他には、ベトナムからの研修生も受け入れている。
グッドデザイン賞はどのような点を評価されたのか?
200年続く伝統工芸品である久留米絣を素材として、新たな商品開発と市場開拓をしながら、伝統継承を図っている点、また、無加工で紫外線遮蔽率99.3%である「筑後もめん」(実用新案取得)を考案し、これを利用した日傘を発案した点、などを評価していただいた。
感想などアンケートの声 (一部)
- 実際に布を手でさわってみて、いくつもの工程をかけて出来上がったことがよくわかりました。ぜひこの伝統的な織物を続けていってほしいと思います。
- 素晴らしいの一言。かすりのイメージが変わった!
- すべての工程の技術が素晴らしいと思う。糸くくりの大変さ、ち密さにはびっくりしました。
- 伝統技法に「現代性」を上手く取り込んでいらっしゃるところが魅力的だと感じました。「伝統工芸」は非日常的なイメージがありましたが、そうしたところですごく身近に感じました。
- 着物だけでなく、センスの良い様々な商品があり、欲しいものがたくさんありました。暖かくて涼しいということで、一年中使用できるのもいいですね。
- 久留米絣は着物くらいしか知らなかった。洋服、帽子、日傘は、色も選べ、デザインも素晴らしい。帽子は欲しいと思いました。
- 久留米絣を作る大変さと、なぜ価格が高いのか、少し理解できました。