わいわい塾

開催レポート

2010年12月 (株)おおやま夢工房

2010/12/20

 

52おおやま夢工房 緒方氏.jpg

農業、商業、工業の垣根を取り払って作られた「おおやま夢工房」。

 

行政出資の第3セクターでありながら、企業や多くの町民など300余から出資を受けており、支援者やファンが多いのも特徴の一つという。

 

 

 

 

 

 

地域再生への思い

 

「梅栗植えてハワイへ行こう」のキャッチフレーズを掲げて来年で50年。
 

実際に農家がハワイへ行くことができた時代もあったが、農産物自由化が始まり厳しい状況になってしまった。

しかし農地が限られる大山にはやはり梅しかない。

それだけでなく、梅のことなら熱く語れる人が多い。

 

そこで、梅に付加価値をつけることで梅農家の収益を上げ、生産することの誇りを取り戻してもらって地域を再生しようと、梅の加工品の開発と販売に取り組んでいる。

 

 

高級田舎ブランド”で農家の所得を守る


梅農家の所得を増やすため、地元にあったニッカウヰスキー工場長の協力を得て、高級梅酒の開発に取組んだ。

 

当時「梅酒は大衆酒」というイメージがあったが、2006年仏ボルドーのワインフェスタに出品したところ、高い評価を得ることができ、その様子がテレビや新聞で報道されたことで認知度が増した。

2009年にはアメリカの世界リキュールコンテストで金メダルを受賞。大分の田舎でも世界に通用する商品を作ることができた。


他にも梅果肉をふんだんに使ったドレッシングやポン酢などが好評を博している。

現在2年がかりで梅ジュースを開発しているが、産地だからこそできる取組みとして完熟梅を使っており、これまでにない美しい色と豊かな香りが特徴。

 

 

 

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世界で評価された「樽仕込み ゆめひびき」

 

 

 

 

 

 

 

 

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大山特産、鶯宿梅を使用した「ゆめひびき」

 

 

 

 

 

 

 

 

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嬉野産アールグレイが香り高い「くれはロワイヤル」(右)

柚子のリキュール「天女の唄」(中央)

すもものリキュール「天女の調べ」(左)

 

 

 

 

 

 

 

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色と香りが驚くほど豊かな梅ジュース

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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梅ドレッシング「梅吉」(右) 

梅ポン酢「梅エ門」(左)

 

 

 

 

 

 

 

梅を囲む輪を大きく

梅が咲き誇る2月頃には「一目一万本」と言われるすばらしい景色が見られる。

梅祭りでは、久留米絣のデザイナーがパリコレ出品作のファッションショーを開いたり、福岡のよさこいの団体が踊ったりして、祭りを盛り上げてくれる。

車を使えば福岡や北九州からも90分ほどで来ることができ、地元食材をふんだんに使ったレストランや温泉、宿泊施設もあるので、是非足を運んで欲しい。


52おおやま夢工房 試飲.jpg梅の品種をパンフで確認しながら試飲中


「梅の品種によって、味わいが異なるんですね!」

 

 

 

 

 

 

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梅で作られたポン酢を試食中
 

「初めての味だが美味しい!」

 

 

 

 

 

 

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52おおやま夢工房 会場.jpg

 

会場の様子です

 

 

 

 

 

 

 

参加者と企業の意見交換

 

Q.梅の健康効果はどのようなものか。

江戸時代から万病の薬として扱われてきた。胃腸に良い、二日酔いに効く、などと言われる。アルカリ食品としての効用も注目されている。

 

Q.梅には殺菌効果があるけれど、無農薬で栽培できるのか。

無農薬ではどんな作物も難しいのではないか。農林水産省が決める基準は世界的にみても厳し過ぎ、これを守るためにコストがかかっている。消費者には、農薬の必要性やどの程度危険なのかなど、正しく理解してほしい。

 

Q.鶯宿梅で作られた梅酒「ゆめひびき」は、いつも飲んでいるものに比べて濃いように感じる。

スーパーなどで売られているものは、そのまま飲むことを考えて薄めに作られているが、「ゆめひびき」はカクテルのベースにも使える濃さになっている。農家が自分で漬けて飲んできたものはもともとアルコール度が高めで、それと同じ位。

 

Q.梅ジュースは香りもよく、とても美味しいが、砂糖を使っていることが気になる。

エキスを抽出する為にどうしても糖分が必要なのだが、砂糖を使わずに作れないか、長野の農産物研究所と相談して、米や果実が持つ糖分を利用することを検討している。和歌山の試験場によると、梅の香りは様々な種類の香りが一体となった複雑なものだそう。完熟梅を使い、特別に抽出法を考案したことで香りが活きている。

 

感想

 

  • 第3セクターで立ち上げて起業の過程、思いなど、お話が非常に興味深かったです。梅酒も良かったのですが、開発中のジュースがとても美味しかったです。完成を楽しみに待っています。
  • 世界にも視野を広げて商品開発をしたり、とても熱心に取組んでいらっしゃることに驚きました。梅だけでこんなに考えていらっしゃるとは…。
  • 寝酒によいと思いました。酔う為の酒ではなく、食前酒や健康酒としてたしなむのに適していると思いました。
  • 日田から阿蘇方面に行く途中で「ひびきの郷」の看板をよく目にしており、気になっていました。日帰り温泉施設だけと思いきや、こんなに大きな施設だったのですね。次回はぜひうかがいたい。
  • 地域活性化に大変参考になる組織作りだと思う。
  • 梅そのものにすごい力があると思います。その梅の商品ですからどれも良いと思いますが、特にドレッシング、ポン酢が気に入りました。
  • 50年も前に、山あいの村で小さな梅の実を産業の核にと目を付けられた方は、何と先見の明のある方だったろうと思いました。
  • 地域一体となった業種を超えての様々な取り組みはすばらしいと思った。

 

 

梅にまつわる豆知識 

 

その1  大山特産鶯宿梅(オウシュクバイ)の名の由来は…

 

「勅(ちょく)なればいともかしこし 鶯の宿はと問わばいかが答えむ」
(ご命令とあらば従いますが、毎年訪ねてきて宿る鶯に「あの梅は」と聞かれたら何と答えたらいいでしょうか)

 

村上天皇の梅が枯れ、紀貫之の庭の梅を差し出すことになった。その際、娘の紀内侍が詠んだという歌。これを聞いて村上天皇は梅を返したそう。

 

 

その2  中国では、梅は3回楽しめる、と言うそうですが…

 

探梅:葉の時期に、梅はどこだったかなと探して歩く
訪梅:春を待ちながら、蕾はついたかなと見に行く
観梅:早春に、香り高く咲く花を楽しみに行く

 

ここに、大山では

実梅:実を食す、という楽しみが付け加わります!

 

 

 

 

企業情報

株式会社おおやま夢工房
住所: 〒877-0201 大分県日田市大山町西大山4587
電話:0973-52-3000