2016年5月 (有)マルハ園芸
2016/05/30
今回のご出演は、佐賀県・白石町のマルハ園芸さんでした。
社長自身農家出身の経験を活かし農産物の卸売業から始まり、農家と提携して野菜作りにかかわるようになって四半世紀、一昨年には野菜の農産物加工場も建設し、6次産業化にも積極的に取り組んでいます。
佐賀・白石という土地
白石は有明海に面しており、江戸時代から積極的に干拓事業が進められてきた地。もとが海の底なのでミネラル豊富な肥沃な大地があり、また年間を通して温暖な気候で日照量も豊富。さらに先人たちの努力で農業用水確保に必要なクリークなどもよく整備されており、野菜づくりの条件が揃った土地と言える。
マルハ園芸の取り組み その① 農家との連携
マルハ園芸の仕事は農産物の卸売業だが、より安心で安全なものを消費者に届けるためには、生産者との連携が欠かせないと考え、地域の農家との提携・契約を進めている。
契約を結んだ農家が安心して農業経営できるように、農産物の買い取り価格一定化の推進や、後継者・新規就農者の育成や支援をしているほか、肥料や農薬のタイミングなどこれまで個々の農家の裁量に任せていた栽培情報をマルハ園芸と生産者が共通にすることで、農家の負担減につなげている。
また、栽培情報については、栽培工程記録簿や農薬使用履歴簿などを作成して納品先のスーパーや生協がいつでも見られるようにしており、外部機関による生産工程管理(GAP)監査も受けている。
マルハ園芸の取り組み その② 土へのこだわり
安心・安全な農産物をつくるには、やはり健康な土づくりが大切。そこで、契約農家と一緒に有機栽培、減農薬栽培の勉強会を定期的に実施し、地域一丸となって環境保全型農業を目指している。このような取り組みの結果、契約農家の中から佐賀県のエコファーマー認証を取得する生産者が何軒も出てきた。土づくりの基本資材としてみんなで使っているのは、コーヒー豆粕、魚粕なども加えて作った有機100%のアミノ酸入り有機ボカシ肥料。信頼できるところが作っているものを、試験農場で長年使ってみて選んだ。この肥料を使うことにより病気に強い作物が育つ土づくりをしている。また、有機農産物栽培の推進を行うマルハ園芸は、取扱い者に必須の「JAS有機農産物小分け」や「JAS有機農産物加工認定工場」の認証を取得している。
農作物は、たとえ同じ品種であっても土が違うと味が変わるものだが、マルハ園芸の契約農家はみんなで同じ肥料を使うことにより、安定した味・美味しさを実現できている。このため、例えば関東地方のモスバーガーから「マルハ園芸のこの味が欲しい」と言われて玉ねぎを納品しているなど、多方面から信頼を受けている。
♪乾燥れんこんを使用した炊き込みご飯と、お茶、パウンドケーキをいただきました♪
炊き込みご飯は「食感がおもしろい」、れんこん茶は「香りが芳ばしい」、パウンドケーキも「れんこんがしっとりして美味しい」と好評でした。炊き込みご飯は、「炊き込みご飯の素」に粗切りの乾燥れんこんをそのまま足し、研いだお米に入れて炊いただけ。パウンドケーキは、水で戻した粗切り乾燥れんこんにハチミツをからめて少し加熱し、ホットケーキミックスに混ぜて焼いただけ。手軽に楽しめそうです。
マルハ園芸の今後の目標
今後の目標は、消費者にとって安心できる農作物の提供を続け、これからも日本の食と生命を支えていくこと。そのためには、国産農作物の自給率を維持して、安定的に供給できなければならないが、今、個人経営の農家が置かれている環境はラクなものではなく、後継者が育たず高齢化がすすんでいる。マルハ園芸では、地域の農家の農作業をサポートし、農業経営のアドバイスをし、新商品の提案や後継者・新規就農者育成をお手伝いすることで、農業を支えていきたいと考えている。
参加者との質疑応答
連携している農家の土壌の様子はどう調べるのか?
マルハが園芸が土を採取して検査機関に出し、調査してもらっている。生協やスーパーによっては土壌診断の結果を求めてくるところもある。
れんこんはどのように保存するのが良いか?
最もよいのはすぐに食べること。保存するなら酸化しないように水につけておくのがよい。あるいは水分を含ませた新聞で包むのもよい。
「新玉ねぎ」は聞くが「新れんこん」もある?
れんこんの収穫期は8月頃から翌年3月頃までで、冬の寒い時期にも泥に埋まって収穫をしている。声をかけると「意外とあったかいんだよ!」と返ってくるが。収穫が始まった頃のものを「新れんこん」と呼ぶこともできるかもしれないが、実際のところ、れんこん農家は1~2人で地道に作業をされているところが多い。他の農作業との兼ね合いもある中、農家ごとそれぞれのペースで収穫をしているので、玉ねぎのように一斉に店頭に並ぶようなことはなく、「新れんこん」と名前をつけて売るまでにならない。
れんこんには丸いのと四角いのがあるが、どちらが良いものか?
れんこんは1本に5節ある。節によって食べ方を変えた方が良いと言われるほど味が違うので、形よりは節の場所のほうを重視してほしい。でんぷんが多いのは真ん中の節、あっさりしているのは5番目の細い節で、ここはきんぴらに向いている。
茶色のれんこんと白いれんこんがあるのはなぜか?
色は品種による。ちなみに白石産のは茶褐色。
玉ねぎは収穫する前に薬を使うと聞いたことがあるが?
玉ねぎはとてもひ弱な植物で菌に弱いので、収穫前に殺菌することはある。もちろん殺菌してから、決められた期間をしっかり過ぎてから収穫することになっている。
感想などアンケートの声 (一部)
- GAP監査という言葉を初めて知りました。これほど管理されているので、本当に安心していただけます。意識の高さを感じます。
- 玉ねぎはそのままで十分美味しく、乾燥してもパウダーにしても香り高くやはり美味しいですね。乾燥だけで美味しいので、油を使用しないヘルシーな野菜チップとして商品化してほしい。
- 栄養価も高く、食卓に取り入れたいと思います。
- 玉ねぎパウダーが思った以上に甘かったことが印象に残りました。
- 企業努力は感心します。新しい食べ方の開発・挑戦もよくわかりました。
- 干しレンコンは初めてでしたが、炊き込みご飯、ケーキとも美味しくいただきました。
- れんこんの粗切り、パウダー、レンコン茶、ともにいろいろと使えそう。
- 玉ねぎの食べ比べは初めてでしたが、白石玉ねぎの甘さがはっきりとわかりました。生でも食べやすかったです。乾燥れんこんは栄養価が高いので、常備して料理に使うとよさそうです。
- 6次化産業に更に取り組んでいただきたい。日本の農業を安定させる有力な手段だと思います。
- 乾燥れんこん・玉ねぎは、保存ができるし手軽に使えるから、値段に納得できたら購入したい。
- れんこん茶は飲みやすく美味しいので、(すぐ飲める状態で)販売できないか。
- 粗ミジンれんこんは食感が面白く、美味しい。
- 法人化して小さな農家も参加されているところが印象に残った。
- いつも何気なく食しているお野菜、育てていらっしゃる方々のお気持ちを受け取りながら食したいと思います。
- より安全に、より美味しく、と取り組まれているとのことで、玉ねぎは本当に甘みがあって美味しく感じました。
- 乾燥品なら海外でも手軽に使用できるので、和食の時代にとても良い取り組みだと思います。