2016年6月 (株)フカノ楽器店
2016/07/01
今回のご出演は、福岡市のフカノ楽器店さんでした。
ピアノやエレクトーン等の楽器販売、音楽教室などの運営を長年されており、近年は、音楽を活用した介護・認知症予防プログラムが注目されています。
写真はフカノ楽器店社長の藤田さんです。
音楽と運動の融合で、楽しく介護・認知症予防
介護予防や認知症予防のために運動に取り組む人は多いですが、体操中心では「きつい」「痛い」「苦しい」と挫折してしまう人が少なくありません。そこで、フカノ楽器店では音楽をリズム運動と組み合わせたオリジナルプログラムを開発しました。
音楽に長年携わってきた経験や、音楽教師の人材などを活かし、「音楽療法」「音楽レクリエーション」「生涯学習音楽指導」の手法を活用して、身体ばかりでなく心にも働きかける内容になっており、これをプロの音楽家が講師となって指導しています。
参加者の笑顔が多く、参加率・満足度・リピート率も高いのが自慢です。
それは数値にも出ており、事業を始めた2009年は86カ所に出向いて受講者は2000人ほどでしたが、今年度の開催場所は1566カ所、受講者は4万人ほどになる予定です。
介護・認知症予防への関心と必要性が年々高まっていること、そして、フカノ楽器店オリジナルプログラムの楽しさ・取り組みやすさが浸透してきたと感じているそう。
結果として介護予防・認知症予防の効果も出ているようです。
普及をすすめて、健康促進やコミュニティづくりのお手伝いも
この事業は今年、経済産業省「ヘルスケア産業づくり貢献大賞」の九州経済産業局長賞を受賞しました。今後ますます普及させたいところですが、現在講師として対応しているのはプロの音楽家36名です。音楽の専門家ならではの質の高い指導ができていることは評価されているものの、指導者を増やす必要があります。
そこで、指導者資格を何段階か作り、認定研修コースを用意しました。例えば介護施設の方や行政の方、地域コミュニティで活動されている方、家族と一緒に取り組みたい方など、必要なレベルに応じて研修を受けてもらえるようにしています。
このプログラムの理解者・指導者を増やして取り組みを広めることで、介護・認知症予防に限らず、元気な方の健康促進や地域コミュニティづくりの役に立ちたいと考えています。
♪ 体験 ♪
音楽教室でピアノを教え、プロのピアニストとしても活躍されている野口さんに指導してもらいました。
①両手を握ったり広げたりしながら歌う
手指の毛細血管は手をグーパーするだけでも
血行がよくなるそう。
「伸ばした手はパー、近づけた手はグー。
左右交互にグーパーしながら
“うさぎとかめ”をうたいましょう」
「次は伸ばした手はグー、近づけた手をパーにしますよ~」
意外に難しくて間違える参加者が続出。会場に笑いが起きました。
②歌いながら左右の手で違う指揮を振る
右手は上下に、左手は三角形に振りながら歌います。
いくつかの動作を同時に行うことで脳が活性化するそう。
うまくいかず、ここでも笑い崩れてしまう参加者がたくさん
いました。
「間違っていいんですよ。大切なのは会話をすること、
笑うこと、人と触れ合うことです。特に笑うとドーパミン
という神経伝達物質が出て、認知症の予防になるそうですよ~」
③口腔体操「パタカラ」
声を出すと言語野である前頭葉が刺激を受けるそう。
また口まわりの筋肉を鍛えることは誤嚥防止になります。
パ・タ・カ・ラは発音に特徴があり、
それぞれを “ごんべさん”の歌に合わせて発声すると、
ちょうどよいトレーニングになります。
④懐かしい歌で長期記憶を刺激
「夏は来ぬ」などの歌詞をまずは音読、
そして伴奏に合わせて歌います。
ここで登場する秘密兵器はシェイカー。
振ると心地よい音がします。
歌に合わせて振りますが、途中で握る手を変えたり、
リズムを変えたりするのがまた難しく、これも皆さんで賑やかに笑いながらの体験となりました。
⑤「ミュージックフープ」を使ってエクササイズ
かつてヤマハが開発し生産中止にしたものを、
フカノ楽器店が特許や金型を買い取り生産しています。
表面はゴム製の柔らかい感触で、丸につなげたり、
棒状に伸ばしたりできます。
傾けるとサラサラと優しい音が鳴るのも楽しい製品です。
丸につなげたまま上げ下げして腕の筋肉を刺激したり、
「黒田節」に合わせて上半身を伸ばしたり、
棒状にして足の裏を刺激したり、
ストレッチしたり、と様々な使い方をしました。
これらを歌いながらすることで、
脳のいろいろな部分を活性化させることが
できるそうです。
⑥最後にハープ演奏のプレゼント
中島みゆきの「糸」を演奏してくださいました。
プロの演奏家ならではの豊かな音色に、参加者のみんなで聞き入りました。
参加者との質疑応答
楽しかったのでぜひ普及してほしい。全国展開されるのか?
現在は福岡県・佐賀県のみ。指導者数が増えたら、範囲を広げていくことも可能になる
この講座は厚労省の補助事業として申請できるのではないか?
音楽を活用するおかげで「楽しくて良かった」「もっと続けよう」と意欲に良い影響があるのはアンケートなどで確認できるが、その効果を医学的に証明することは難しい。ただし、佐賀市など講座実施のために公費でミュージックフープをまとめて購入しているところはある
ミュージックフープは個人で購入できるか?
購入はできるが、一人で音楽を用意するのは大変であるし、何より楽しくできるか心配。講師の指導のもとに、グループで取り組むのが本当は効果的。ただやむを得ずお一人で取り組まれる方もあるだろうから、見ながらできるように作ったDVDもある。
感想などアンケートの声 (一部))
- 音楽に合わせて体を動かすことがとっても楽しかった。どんどん広めてほしい。
- 音楽療法は聞いたことがありましたが、同時に体を動かすことで、よりたくさんの効果があることがわかりました。日頃から日常に取り入れていきたい。
- 体がすっきり、大満足。楽しかったです。
- ミュージックフープを使用した後、ハープの演奏を聞いた後の心地よいこと。びっくりしました。
- 寝たきりにならない為、健康寿命を延ばす為、等、日頃から自分の出来ることをやっていきたい。楽しく長く続けることがいちばんですね。今日は大変楽しかったです。
- リフレッシュができた!もっと広めていってもらいたい!ボランティアの仕組みを早く確立してほしい!是非参加したい!
- どのような音楽がどのような効用を発揮するのか、もし自分がリーダーとなるならそのあたりの経験の蓄積が必要だと感じた。
- ご年配向けの運動かと思いましたが、楽しく体がスッキリ!!よい体験ができました。
- ミュージックフープをぜひ自宅でも使ってみたい。
- 久しぶりの音楽と体操、リフレッシュでき、大変良かったです。手軽に使える器具であることがよい。