2016年7月 (株)藤井養蜂場
2016/08/08
今回のご出演は、福岡県朝倉市の藤井養蜂場さんでした。
藤井養蜂場は、近代養蜂を始めて今年で107年目という、国内有数の会社です。
花を求めて種子島から北海道までミツバチとともに
藤井養蜂場では、花の時期を追いかけて、ミツバチと一緒に毎年大移動しています。
このやり方を採用したのは日本ではここが初めてだそう。種子島から北海道は釧路まで、大転地を繰り返しながら、採蜜していきます。
旅をしながら採取した蜂蜜は、濾過をするだけで、あとは一切手を付けません。風味、味、色がそのままの状態のものを、自社工場で品質検査をし、容器へ充填しています。
生産から販売まで一貫して行っているため、はちみつの純粋さを損なうことがありません。
写真は専務取締役の藤井さんです。
蜂を育てる
蜂は花の蜜を集める時に花粉も足につけて運びます。これによって起こる花粉交配も、蜂に期待される効果の一つです。
人の手による人工交配という手法もありますが、蜂のほうがこまめに何度も花を訪れるためか、農産物の出来がよいそうです。
その経済効果は8,000億円ともいわれ、日本の農業に大切な役割を果たしています。
藤井養蜂場では蜂を育てて農家への貸し出しをしています。イチゴやメロン、柿、ナス、キュウリなどの栽培に利用されているそうです。
ちなみに、フラボノイドやポリフェノールといった有用な成分を含む花粉ですが、はちみつにも少量入ります。はちみつ中の花粉を分析することで、例えば本当にアカシアのはちみつかどうか、といったこともわかります。
養蜂家を育てる
後継者を育てることも業界の発展のために大事な仕事。藤井養蜂場では養蜂家の育成も行っており、ここから巣立った人たちは全国に60人~100人位います。海外からの研修生も受け入れています。藤井養蜂場の新入社員も必ず現場を経験することになっています。
海外養蜂について
日本は蜜源が少なく、はちみつの自給率は7%弱しかありません。そして輸入物の8割は中国産が占めています。
「中国産」には良くないイメージがありますが、藤井養蜂場には25年前からつきあいのある養蜂場があり、度々訪ねています。
そこは、空港からさらに車で何時間もかかる内陸の僻地にあり、テントを張って、豚や鶏、ヤギなど飼い、自給自足の生活を送りながら養蜂をしています。日本よりはるかに自然に恵まれた環境の中で採蜜しているのです。
藤井養蜂場では長年に渡って交流をしながら、技術支援をしたり、逆に教えられたりしてきました。間違いのないものが輸入できる背景にはそのような信頼関係があります。
また、中国産に限らず、世界の他の地域から届いたものも、もちろん国産のものも、藤井養蜂場できちんとサンプルを取り、検査をしているので安心です。
中国以外の主な輸入国は、アルゼンチン、ミャンマーやオーストラリア、ニュージーランド、カナダなどです。
蜂の生態について
写真は営業Ⅱ課長の別頭さんです。
ミツバチには「訪花の一定性」という本能があり、アカシアの蜜を集める時はみんなでアカシアだけを集めます。そこで、花が変わるタイミングではちみつを回収すると、「単花蜜」となります。単花蜜は、花の種類によって、見た目も味も全く異なります。
一方「百花蜜」とは、花の時期が変わってもそのまま巣箱を置いておくことで、数種類の「単花蜜」が一緒になったもののことです。
はたらきバチの一生は短く、30~40日しかありません。生まれてすぐから、巣の掃除や、花の蜜を昼も夜も羽であおぎ続けて水分を蒸発させるなど、巣の中で“内勤蜂”として20~25日間ほど働きます。そしてその後、外へ花の蜜を採りに行く係になります。
採蜜に出かけた外勤蜂は、花から採った蜜をいったん自分の体の「蜜胃(みつい)」に貯め、巣へ戻って内勤蜂へ口移しで渡します。花の蜜は、何度も蜂の体内を通ることで多くの酵素が加わり、更に水分を飛ばされて濃縮することで「はちみつ」へと変化します。
はちみつの効能
糖度が80度あり、基本的に腐りません。
殺菌力にも優れ、昔から口内炎や胃潰瘍、のどの痛み、火傷や擦り傷などに良いと言われてきました。
消化の必要が少なくスムーズにエネルギー源となるため、疲労回復や脳の活性化にも良いです。
オリゴ糖が腸内環境を整える、果糖が肝臓を強化するため二日酔い予防によい、などとも言われます。
またビタミンやミネラルを豊富に含み、美容と健康への効果が期待できます。
♪ 試食 ♪
梅のはちみつ漬けシロップの飲み物をいただきました。氷砂糖でもよく作られますが、はちみつにすることで風味が数段よくなります。
はちみつみそは、野菜や蒸した鶏肉に和えたものと、スティック状にしたキュウリにつけて試食しました。とても美味しく、参加者に好評でした。教えていただいた作り方も簡単です。
<作り方> みそ2+はちみつ1 の割合で混ぜ合わせる
単花蜜の味比べをしました。種類によって、色も香りも味も異なることがよくわかりました。
参加者との質疑応答・・・藤井養蜂場が販売している中国産はちみつについて質問がありました
中国産はちみつが日本に入るのは加工してからですか?
①藤井養蜂場が提携している養蜂家がはちみつを生産し、提携先の工場に送り生産者、生産ロット毎に、「組成基準、抗生物質」等を検査し、合格品を輸出準備します。②中国政府下の検験局で抗生物質等の検査を行い合格品だけが輸出許可されます。合格品は、ドラム缶(約300kg)の状態で日本へ輸出されます。
混ぜ物は入っていませんか?
藤井養蜂場で扱うものは、中国で2回、門司の税関で1回(抜き取り)、弊社で2回(入荷後と製品化後)と、合計で5回検査しています。ブドウ糖果糖液糖、水あめなどの混ぜ物は入っていません。また他社のものも原材料表示を見れば、純粋なものか加工品か判断できます。
安価なのはなぜですか?
中国での生産量は、年間 約20万トン強で世界でもトップクラスです。価格は生産量と関係しますので、平均すると国産の半分以下になります。ちなみに日本の生産量は約3千トンです。また人件費と元の貨幣価値が日本より低いので、経費が安く、その分価格に反映できることになります。
感想などアンケートの声 (一部)
- 中国産はちみつの見方が少し変わりました。
- みつばちと一緒に全国を移動して行かれるという方法や、採蜜の様子がとても興味深かったです。はちみつは貴重なものであることがよくわかりました。
- 外国のはちみつも丁寧に検査されているので安心して買い求められる。
- 花の命は短くて、ハチの命も短かった!大切に使います。
- 蜂を育てているとは知らなかった。
- はちみつが体によいことがわかり、今後はもっと食べたいと思った。
- はちみつにこんなに効能があったとは知りませんでした。毎日少しいただくと良いですね。豆を炊くときにもはちみつを使うと美味しくなりました。
- 花の種類によってはちみつの味や香りが全く違っているのに気づきました。
- 国産はちみつの生産が7%というのは淋しいですね。でも外国での生産があるおかげで食べられることに感謝したいです。
- 花の蜜とはちみつの違いがよくわかりました。
- 事業の根本に蜂への感謝の気持ちがあることは立派だと思います。
- 美味しくいただくまでに大変な工程があることを知り、価格の高さに納得しました。
企業情報
福岡県朝倉市菱野1105番地
℡ 0946-52-2151
HP http://www.fujiiyouhou.co.jp/
<直売所>
営 業: 9:00~17:15 , 年中無休(元日休み)
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