なっとく!コラム「やっぱりシロヤさんに」シロヤパリガン

2022/09/12

 

 

シロヤのはじまり
明治44年、縫製工場としてスタートしました弊社は、既製品の製造などに加えて、戦争中は軍服の縫製も行っていました。
戦争が終わり、軍需工場としての役目を終え、焼け野原になった町の中で生活もままならない人々の姿を見た創業者は、「これまで販売してきた製品に、手入れその他行く末まで責任を持つべきだ」という想いから、洗濯業を始めました。「戦争が終わりすべては白紙からのスタートであり、何ものにも汚されることのない、初心(白紙)に還ること。また、この新しい会社(白いキャンバス)に皆で好きな色をつけよう、みんなが好むところに向かって進もう」そのような想いから新しい社名は「白屋」と命名されました。


戦後、物のない時代です。洗濯機などは軍の払い下げなど活用し、洗濯の技術や方法はクリーニング業を営む先輩方から教わり試行錯誤を重ね、ようやく一歩を踏み出しました。
「シロヤのクリーニング」という屋号になった今でも、その想いは受け継がれています。

 

クリーニングとは
一言に「クリーニング」といっても、洗い方によって大きく二つに分けられます。クリーニング専用の溶剤で洗うドライクリーニング、主にシーツや白衣のように、高温の水を使って洗うランドリークリーニングです。一般的に多くの方がクリーニングと聞いて思い浮かぶのはドライクリーニングかと思いますが、ドライという名前の通り基本的に水を使わないクリーニングです。ニットなどをご家庭で洗濯して、縮んだり伸びたりしわしわになったりした経験がある方も多いと思います。水は洗浄力が強い反面、どうしても風合いの変化や型崩れが起きやすいという難しさがあります。
そこで水を使わずに汚れをきれいにする「ドライクリーニング」の出番です。

ひとつひとつを丁寧に
皆さんが出されたクリーニングは、たくさんの手と目を通ってきれいになっていきます。
まず、店頭や集配でお預かりした洋服は、シミの有無はもちろん、デザインなどもお客様とお話しして、お客様のご要望を伺い、実際に作業する担当へ伝えます。
工場へ送られてきた洋服は、再度点検し、分類していきます。
スーツ類などの黒っぽいものと、色柄もの、白いもの、シルクのブラウスなどの繊細なもの、シミがあるもの、などを人の目で見て分類します。
分類された洋服ごとに、専用の溶剤で洗っていきます。一度使用した溶剤はフィルターでろ過し、蒸留させて汚れを除去、再びきれいな溶剤として使用します。これを怠ると、汚れた溶剤で洗い続けることになり、クリーニングした洋服がくすんだり、においがしたり、ということになりますので、手を抜けません。

 

 シミ取り研修風景

 

仕上げ
洋服の素材やデザインに合わせて仕上げます。例えば、スーツのジャケットは立体的に仕上げたいので、人の上半身のような仕上げ機に着せて、内側から蒸気で膨らませて仕上げます。また、スラックスは中央の折り目や直線的な仕上がりにするため大きなプレス機で上下から挟んで仕上げてきます。(もちろん腰回りなどは別の専用のプレス機で仕上げます。)
その他、細かいプリーツやフリルなどデザインに合わせた仕上げの多くは手作業で行います。それも、アイロンで押さえるもの、蒸気を当てながらふんわり仕上げるものなど、デザインやお客様の着用シーンに適した仕上げにしていきます。
最後に、工場出荷時や店頭スタッフが仕上がりを確認して、お客様のお手元に届きます。
このような弊社のクリーニングコース、最高峰のサービスが「ロイヤルコース」です。通常、分業で行っている点検、洗い、しみぬき、仕上げを経験豊富な最高の技術者が最初から最後まで一人で行います。完全オーダーメイドの一点ものクリーニングです。料金も最高ですが、自信をもっておすすめできるコースです。
 

 

 仕上げの様子

 

どのクリーニング店も、専用の溶剤を使ってクリーニングをして仕上げる、という同じ方法です。ただ、弊社の創業者が残した言葉に、「お預かり品の声を聞け、どうしてほしいかお預かり品が教えてくれる」というものがあります。一つ一つの工程を手を抜かず丁寧に行うこと、その技術の研鑽を怠らないこと、お預かり品に真摯に向き合うことが、「やっぱりシロヤさんに」と選んでいただける品質を作っていると思います。

 

店舗オープンの様子と営業マン

 

 

 

 

この数年は、外出自粛、行動制限で、会合やパーティーがなくなりリモートでこと足りる時代、結婚式が延期になり旅行も少なくなりました。クリーニングは、もちろん日常の衛生管理、普段着の洗濯にも必要です。でも、やはり思いっきりおしゃれしてお出掛けした洋服、ちょっと頑張って買った洋服、「家でなんて洗えない!プロの技できれいにしてほしい」という洋服。そんな洋服をたくさんお預かりする日が早く戻ってくることを願っています。

 

株式会社シロヤパリガン
諸岡朋子